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May 26 / 2015
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憲法第9条第1項を堅持した上で、自衛隊とその役割を実態に即して明記せよ! 100の行動95 憲法編3

初稿執筆日:2015年5月26日
第二稿執筆日:2016年11月2日

 政府の戦後70年談話に関して議論する有識者懇談会(「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」)において元外交官の岡本行夫氏は以下のように述べられた。

「日本が憲法9条の下で世界に冠たる平和国家として辿ってきた足跡は、国民として誇りに思って然るべきである。しかし、世界で最も軍事的な集積度の高いアジアにおいて、我々が軽い防衛費負担で、どこからも攻撃される心配なくやってこられたのは、憲法9条の故ではない。日米安保という防衛体制をとってきたからである。」

 岡本氏が言うように、東アジア地域は、兵員数で見てトップ5カ国のうち3カ国(中国、ロシア、北朝鮮)が集中しているという世界で最も軍事的な集積度の高い地域である。戦後70年間、日本の「盾」と米国の「矛」の組み合わせで日本を防衛するという日米安保体制によって極東の平和と安定を確保し得たが、この地域におけるパワーバランスは変化しており、今後も同じように平和と安定を維持できる保証はどこにもない。

 岡本氏の言葉を借りれば、「国家の防衛力の水準は、その国の直面する脅威の水準を客観的に分析して、それに対応できる防衛力を持つことが本来の姿」だ。日本の場合、これまでは日米安保体制による抑止力に頼ってきたが、これからは、自らの置かれた環境に即した、現実的な安全保障政策をとらなければならず、そういった観点から憲法第9条についても考えなければならない。

<第9条第1項> 憲法第9条第1項を維持しつつ、国際法に合致した解釈の確立を!

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

 言わずと知れた日本国憲法第9条第1項だ。

 この項に関して、国連憲章など国際法との整合性を担保するために、その解釈を明確化しておく必要がある。

 詳しく見ていこう。

 第1次世界大戦を経験した世界では、集団安全保障とともに、戦争の違法化・非合法化の動きが進められた。それが結実したのが日本、欧州、アメリカ、ソ連なども参加した1928年のパリ不戦条約だ。ちなみに、日本国憲法第9条第1項はパリ不戦条約の翻訳であるとされる。

 ここで「国際紛争解決のため、および国策遂行の手段としての戦争の放棄」が定められ、国際法における戦争の違法化が確定された。

 ここで重要なことは、戦争を違法化した不戦条約においても「いかなる点においても自衛権の制限もしくは毀損を意味してはいない。自衛権は、各主権国家に固有のものである。」という解釈が国際法上確立していることだ。

 次に、第2次世界大戦後1945年の国連憲章によって「武力による威嚇または武力の行使」が一般的に禁止されることになった。国連憲章は、武力による威嚇又は武力の行使を禁止した上で、明文でその例外を示している。

 例外は、国連憲章第51条の自衛権の行使と、第42条の安保理決議による軍事制裁の2つだ。

国連憲章第51条

「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。・・・」

国連憲章第42条

「安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」

 整理すれば、「戦争」は、国際法上一般的に「違法」とされており、「戦争」に至らない「武力の行使」や「武力による威嚇」が行われるのは、

(1)侵略目的の場合

(2)自衛権の行使の場合

(3)国際機関による制裁の場合

の3つに類型でき、このうち国際法で禁止されるのは「(1)侵略目的の場合」であるということだ。

 したがって、日本国憲法第9条第1項の規定を堅持したうえで、憲法改正に向けた議論の中でその解釈を明確化し、国民的合意に至る必要がある。

第9条第1項の解釈

・第9条第1項は国際法上一般的に「違法」とされている「戦争」を全面的に放棄するものである。

・第9条第1項が「武力による威嚇又は武力の行使」を「国際紛争を解決する手段として」永久に放棄するとしているのは、「侵略目的の武力による威嚇又は武力の行使」のみである。自衛権の個別的又は集団的な行使の場合と国際機関による制裁の場合には、適用されない。

 

<第9条の2(新設)> 自衛のための現実的な安全保障政策のため、自衛隊の組織等についても憲法に明記を!

 自衛権(right of self-defense)とは、「外国からの違法な侵害に対して、自国を防衛するために緊急の必要がある場合、それに武力をもって反撃する国際法上の権利」とされる。

 自衛権の概念は、第1次世界大戦後に国際連盟が創設されるまでは自立した概念ではなかったが、国際連盟から不戦条約に至り、戦争が一般的に違法化されたことを契機として、自衛権に関する国際的な慣習的規範が生まれた。現在では、自衛権は国連憲章上、各国の「個別的又は集団的自衛の固有の権利」(inherent right of individual or collective self-defense) として規定されているのは既述のとおりだ(第51条)。

 この自衛権を憲法に明記すべきかどうかは、議論が分かれるところかもしれない。諸外国の憲法を見ても、自衛権についての規定は見られない。なぜなら、国家が自衛権を持っているのは「当たり前」だからだ。主権国家の固有の権利である自衛権は憲法に書くまでもなく、それを前提として、防衛や軍隊、兵役について憲法で規定している国がほとんどだ。

 しかし、日本の場合は、戦後70年間の自衛権に関する限りない解釈論争に終止符を打つためにも、国際法上当然の権利である自衛権について憲法でも明記した上で、自衛隊の組織や任務について規定することを提案したい。

 現行の日本国憲法は、第9条第2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定しているため、当然ながら自衛隊に関する規定は皆無だ。しかし、憲法において自国の軍隊に関してなんら規定を置かないことは、むしろ軍隊の肥大化に歯止めがかからない危険性をはらんでいる。このため、自衛隊の組織や権能について、憲法上明記することが必要だ。

 まず名称である。最近、国会で安倍総理が自衛隊を「我が軍」と呼んで物議を醸したが、実体的には自衛隊は紛れもなく軍隊である。他国は自衛隊を単にJapan ArmyとかJapanese Navy、Japanese Forcesと呼ぶわけで、self-defenseという言葉はつかない。

 このため、自民党の憲法改正案では「国防軍」、新聞社の提言でも「軍隊」や「軍」とする向きが多い。

 しかし、「100の行動」では、「自衛隊」の名称を残すべきだと考える。名称変更によっていたずらに国内外からの不安や批判を巻き起こすのを避けることが狙いだ。名称がどうあれ、実質的に我が国を防衛できる能力があれば良いからだ。

 次に、シビリアンコントロールについても明記する必要があろう。自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣であり、自衛隊の組織等については国会の定める法律によりコントロールされることを、憲法に規定する必要があろう。

 もちろん、自衛権や自衛隊について憲法に明記したからといって、我が国が軍事大国になるというようなことはない。自衛権を憲法上明記すれば集団的自衛権の行使も憲法上可能となるが、だからといって無制限に集団的自衛権を行使するといったことではなく、より慎重に、我が国と同盟国の防衛に必要最小限の範囲で集団的自衛権が行使されるよう、法律や憲法解釈を明確にしておく必要があろう。

(自衛隊)

第9条の2(新設)

第1項 自衛権を行使し、我が国の平和と独立及び国民の安全を守るため、自衛隊を組織する。

第2項 自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣とする。

  なお、第9条の2の新設により、第9条第2項は削除する。

 <第9条の3(新設)> 自衛隊による国際平和活動を憲法に明記せよ!

 今後、国際テロの脅威が増大する中、国連を中心とする集団安全保障体制の重要性は大きくなっていく。今やいかなる国も一国のみでは自国の安全すら守りきれない時代だ。そういった世界の中で、日本は「自由、民主主義、法の支配、基本的人権」といった普遍的価値を構築する役割を積極的に担うべきであることは既に述べた。

(100の行動91 世界の中の日本編3<Gゼロ世界の中での日本の国際貢献>)

 日本がより積極的に世界の平和構築に貢献できるよう、憲法上も自衛隊の役割として国際平和貢献を明記することが必要だ。

 1991年の湾岸戦争で、日本とドイツは憲法上多国籍軍に参加できず、資金面のみの支援を行って国外から批判と蔑みを受けた。その後の日本の歩みは遅々としているが、一方のドイツは、連邦憲法裁判所による判例で、ドイツ国外への危機対応や紛争防止など、世界中のどこであれ、広い意味でのドイツの安全を守るための行動は必要であるとし、連邦議会の事前承認によりNATO域外への派兵が認められるようになった。

 このドイツ軍を批判したり、軍国主義の再来だとなじる近隣諸国はない。むしろ今やドイツは、ヨーロッパの周辺諸国から頼りになる同志として信頼を得、ヨーロッパにおける地位を高めている。

 日本の自衛隊も積極的に国際平和貢献に参画する必要がある。そのためにも、憲法上その役割を肯定的に明記することを提案したい。

(国際平和貢献)

第9条の3(新設)

 自衛隊は、国際社会の平和と安定のために、国際平和活動に積極的に参画する。

<第9条の4(新設)> 在外邦人救出を含む国民の保護、領土保全、資源の確保などを自衛隊の任務として明記せよ!

  自衛隊の目的は、第9条の2で明記したように、「我が国の平和と独立及び国民の安全を守る」ことである。ではそのために必要な任務は何かといえば、これは時代の変遷とともに変わってくる。

 日本を取り巻く安全保障環境をみれば、まず、「我が国の平和と独立を守る」ためには、尖閣諸島など我が国領土への他国からの侵入を防ぐことが何よりも重要であろう。さらには、排他的経済水域等における資源の確保も重要な安全保障政策である。

 加えて、IS(いわゆるイスラム国)などの国際テロに邦人が巻き込まれる現状の世界情勢に鑑みれば、「国民の安全を守る」ためには、国際テロなどの際の在外邦人救出が可能でなければならない。北朝鮮の近い将来における政府崩壊を考慮すれば、その必要性はさらに増してくる。

 したがって、自衛隊の本来任務として、領土保全、資源確保、在外邦人救出を憲法に示す必要がある。

(自衛隊の任務)

第9条の4(新設)

第1項 自衛隊は、領土、領海及び領空を保全し、我が国の資源を確保するための任務を遂行する。

第2項 自衛隊は、国外における緊急事態において、在外国民を保護する任務を遂行する。

 

 安全保障に関しては、100の行動防衛編(行動23〜26)でも詳述した安全保障関連法制が2015年9月に成立している。これにより、

・集団的自衛権の行使

・PKO以外の自衛隊による海外での復興支援活動

・海外における自衛隊による他国軍への後方支援

・在外邦人救出

・米艦防護

・海外における武器使用基準の緩和

・海外における治安維持・駆け付け警護

・日本周辺以外も含む地球規模での自衛隊による国際協力

などが可能になり、自衛隊の活動範囲は広がった。

 2016年に入り、日本を取り巻く安全保障環境はさらに厳しさを増している。北朝鮮はこれまでになく短期間のうちに立て続けに核実験を強行し短・中距離弾道ミサイルや弾道ミサイルの発射も繰り返しその能力を増強している。

 成立した安保関連法制は、世界の主要国として日本が行うべき平和貢献のミニマムラインを準備したに過ぎない。日本と国際社会への脅威に対処し、かつ積極的な国際貢献を行えるようにするため、憲法上も安全保障を正面から捉える必要があろう。

次の100の行動96では、基本的人権について論じることにする。



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