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Jun 11 / 2015
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衆議院の優越を確立し、世代別選挙区を実施し、緊急事態条項を導入せよ! 100の行動97 憲法編5

初稿執筆日:2015年6月11日
第二稿執筆日:2016年11月17日

 2007年から2013年まで毎年首相が変わった。主因は、衆参がねじれていたことだった。

 2007年7月の第21回参議院選挙で自民党が敗北し、衆参にねじれが生じた。当時安倍晋三総理はその後1カ月余りで首相を辞任、福田康夫、麻生太郎と約1年の短命政権が続き、民主党に政権を譲り、鳩山由紀夫内閣が誕生することとなった。その民主党政権も、2010年7月の参院選に敗北すると再びねじれが生じ、菅直人、野田佳彦両内閣ともに1年余りの短命政権だった。

 憲法は確かに、予算や条約等については衆議院の議決を国会の議決とする「衆議院の優越」という制度を準備してはいるが、法律案については、衆議院の優越はない。従い、関連法案が参議院で野党に反対されて可決できずに、予算執行ができない弊害が実際に生じてきた。

 2013年7月の参院選に勝利した第2次安倍内閣はねじれを解消し、安定した政権運営を行っている。だが、与党が参議院の比較第一党であったとしても起こりうる「衆参のねじれ」は政治と行政の停滞を引き起こす、日本の政治の仕組みの大きな弊害である。

 日本国憲法は前文の冒頭で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」するとし、第4章「国会」で、第41条から第64条まで詳細に国会と国会議員に関して定めている。それだけ、憲法の中で、間接民主主義の根幹である国会が重要であるということだ。今回の行動では、国会と緊急事態条項に関して議論をする。

 冒頭で述べた通り、国会改革の本丸は、衆議院と参議院の問題だろう。国会の機能不全を防止するためにも、憲法上で明確にあるべき姿を明文化する必要がある。

 今の日本の二院制の問題点は、

1)ねじれ問題:権限面で衆議院の優越が徹底されていないため、衆参がねじれた場合に、政治の停滞を引き起こすこと。

2)選挙制度:衆議院と参議院とでは、選挙区の違いは多少あれど、比例代表を併用している点が共通するなど選挙制度はほとんど変わらない。また、参議院の一票の格差の問題がなかなか解決できないでいる。

3)議論の同質性:衆議院と参議院とで議論する内容にほとんど差が無い。その結果、良識の府として期待されていたはずの参議院の議論が盛り上がらずに、政策論争よりも政局が中心となってしまいがちだ。

 では解決策は何か。「一院制」という答えがストレートである。一院制のメリットは、迅速な政治決定が可能となることであろう。諸外国の国会制度をみると、一院制を採用している国家は113カ国もある。一方、二院制は78カ国だが、先進国(OECD加盟国)をみると二院制が19カ国、一院制が15カ国。G8(イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア、日本)に限れば、すべて二院制である。

 さらに詳しく見ていくと、G8の中でも、日本とイタリア以外は、両院の権限や議員の選定方法を差別化しており、事実上一院制のような国が多い。例えばイギリス、ドイツ、フランス、カナダ、ロシアは、第一院(下院)は直接選挙だが、第二院(上院)は任命や間接選挙を採用し、権限を第一院に集中させている。これによって、二院制のデメリットである政治の停滞やスピード感の欠如を防止し、行政や第一院のチェック機能を持たせている。

 よく知られるように、アメリカは下院も上院も直接選挙だが、上院は人口数に関わらず、各州からの代表2人というように選出方法を工夫している。しかし、両院の権限が原則対等なので、しばしば「ねじれ」で政治の停滞を招いている。

 こう見ていくと、諸外国の成功と失敗にならって、二院制を維持し、参議院のチェック機能というメリットを生かしながら、

1)衆参の「権限」に差をつける(衆議院の優越を強化)

2)衆参の議員の「選出方法」に差をつける

3)衆参の「役割」に差をつける

ことが現代の統治機構論としての最適解となるであろう。せっかく憲法を改正するのだから、諸外国の事例をもとに現時点で考えられるベストな国会のあり方を提示したい。

 1990年代に実施されたいわゆる「政治改革」は、小選挙区比例代表並立制の導入と政党交付金制度の導入であった。しかし、一票の格差に関する違憲判決は最近でも続発し、税金を投入して多額の交付金を受け取る「政党」も憲法になんの根拠も書かれていない状態が続いている。

 また、近年の世界では、国際紛争も多発し、国際テロも過激化している。加えて、東日本大震災など想像を絶する大規模な自然災害も数多く発生している。国家がこういった緊急事態に見舞われた場合、憲法上いかなる措置を講じることができるのか。政府はどういった手続きで権限を行使し、国民の権利はどう守られ、どう制限されるのか。

 このことに関して現行の日本国憲法はなんら規定していない。従い、緊急事態条項に関してもこの場で憲法に加えることを提案したい。

 憲法改正は、抜本的な国会改革、真の政治改革の絶好のチャンスといえる。ぜひとも積極的に、前向きに憲法改正を捉え、政治改革を進めたいものだ。

衆議院の優越を強化して、法案の決議を迅速にできる体制を構築せよ!

 まずは、衆議院と参議院の権限の問題から論じていこう。現行憲法では「衆議院の優越」として、第59条から第61条で次のように規定している。

・第59条→法律は衆参で議決が異なった場合、衆議院の2/3以上の再可決で成立。

・第60条→予算は衆議院先決、衆参の議決が異なった場合または参議院が30日以内に議決しない場合、衆議院の議決が国会の議決となる。

・第61条→条約締結の国会承認に関しても予算と同様とする。

 以上の3点である。しかし、近年、ねじれ国会で予算は成立したものの、予算の裏付けとなる赤字国債の発行を認める特例公債法が参議院の反対で成立せず、予算執行に遅れが生じ、それも一因となって、毎年総理が交代する事態となっていることは、冒頭に述べた通りである。

 そこで衆参の権限の差別化に関しては、シンプルに衆議院の再可決を2/3から1/2に引き下げるのが良いだろう。こうすると、事実上すべて衆議院の議決が国会の議決となり、迅速な政治決定が可能となる。しかし、一方でそうなると問題点が2つ出てくる。

 1つ目の問題点は「それでは参議院の存在価値が皆無となる」という制度的問題だ。このため、衆参の役割に差をつけ、参議院は、「行政のチェック」と「人事」を担う院としてはどうか。これについては後述する。

 次の問題点は、憲法改正の現実論だ。現職の参議院議員と話をすると、「再可決を1/2にする憲法改正案など絶対に参議院を通過しない」という。参議院議員の立場からすれば、自らの存在意義を無くす改正であり、反対が明らかだからだ。実際、新聞や民間団体の憲法改正案では衆議院の再可決条項1/2が採用されているが、自民党案では、2/3と現行のままになっている。

 しかし、まさに良識の府である参議院にも、憲法改正に際して国のあり方を真摯に考えて欲しいものだ。現実論としては、憲法改正の経過措置として、各政党で衆議院の選挙区に参議院議員を含めた予備選を実施して、希望する現職参議院議員にも衆議院議員として立候補できるチャンスを与えるのが望ましい。

(衆議院の優越)

第59条

第1項 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

第2項 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二二分の一以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

参議院は地域別選挙区・世代別選挙区並立制の導入を!衆議院は一票の格差是正の徹底を!

 衆議院の優越が確定した場合の、参議院の選挙制度に関して論じて行きたい。各国の制度を見ると、イギリスの貴族院は世襲貴族や一代貴族、聖職貴族等からなり、任命制だ。ドイツの連邦参議院は各州政府による任命制、カナダの上院も首相・総督による任命制であるなど、通常の選挙では選ばれない国々が多い。周知のとおりアメリカ上院は人口に関わらず州ごとに2つの議席を与える方法だ。

 日本の場合、参議院はアメリカにならい、地域の代表として人口に関わらず地域ごとに一定数の議席を割り振る「地域代表選挙区」を考えるのが一案だと思う。「地域代表選挙区」の詳しい説明は不要だろう。地域ごとの意見を反映するため、地域ごとに、人口に関わらず一定数の参議院の議席を割り振る。都道府県であれば、2人ずつ計100名近くとなる。道州制であれば、10人ずつ割り振る計算だ。いずれにせよ、100名程度が望ましい。

 さらに、世代ごとに議席を割り振る「世代別選挙区」の並立制を導入することを提案したい。「世代別選挙区」は、世代ごとの意見を反映するための仕組みである。日本では、高齢者になればなるほど投票率が高く、若い世代は投票率が極めて低い。そのため、政治家が選択する政策が高齢者寄りになりやすい、という問題点が古くから指摘されてきた。「世代別選挙区」では、高齢者と若者の一票の格差が是正され、世代ごとの意見が議席の数として反映されることになる。

 一つの案だが、有権者の年齢ごとに「18~34歳区(青年区)」「35~49歳区(壮年区)」「50~64歳区(中年区)」「65歳以上区(老年区)」と4種類の選挙区を設定する。そして各年代が全有権者に占める割合に応じた定数を割り当てるのだ。各30名ずつだと、合計120名選出となる。

 世代間の投票率の差に関わらず、人口比に応じた各世代の代表が参議院に送り出されることになるため、「どうせ投票に行っても政治は変わらないだろう」と考えていた若い世代にとっては選挙が身近になり、投票率の上昇も期待できる。

 35歳以下の青年区には、同年代の候補者が立候補するのが基本になるであろうから、世代別選挙区の導入に合わせて参議院の被選挙権を30歳から18歳に思いっきり引き下げてもよいだろう。

 これにより参議院を「地域別代表」と「世代別代表」により構成される院とする。現在の参議院の定数は242だが、アメリカの上院が100であることを考えると、議院の定数を220と定数削減して、地域別代表100議席前後、世代別代表120議席としてはどうだろうか。

 この地域別選挙区・世代別選挙区並立制を導入すれば、地域・世代それぞれの代表を国政に送り出すことができるので、各地域・世代の声が政治に反映されることになるであろう。

 一方では、優越がある衆議院では、一票の格差を徹底的に是正することが重要だ。最高裁判所は、2011年にも、2009年8月の総選挙で最大2.30倍だった1票の格差は法の下の平等(憲法第14条)に反し違憲状態であるとの判決を下している。上記のような状態は国会のサボり、怠慢といえよう。そういった怠慢が生じないよう、憲法でより踏み込んで選挙制度について規定することが必要だ。

 具体的には、衆議院は小選挙区の一票の格差を少なくとも1.5以内とすることが望ましい。このため、各都道府県に選挙区をまず1つ配分した上で、残りを人口按分している現行制度をやめ、人口比例を徹底しなければならない。

 なお、これを機会に、オーストラリアやベルギーのように投票を義務化することも検討するべきであろう。また、マイナンバー制度が導入されることを契機に、インターネットで投票が可能とすることが望ましい。ネット投票、投票の義務化、一票の格差の解消、世代別選挙制度の導入等により、選挙が身近なものになり、政治への関心の高まりを期待できる。

(選挙)

第47条

第1項 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第2項(新規) 衆議院議員の選挙区は、各選挙区において一票の格差が生じないよう、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が1.5以上とならないようにすることを基本として定めなければならない。

第3項(新規) 参議院議員は、その半数を地域代表として、その半数を世代代表として選出することとする。地域代表の選挙区は人口に関わらず行政区画ごとに定め、世代代表の選挙区は選挙権者の年齢ごとに全国を一として定めるものとする。

参議院は国政調査、政府人事および弾劾裁判の役割を担う院とせよ!

 衆議院と参議院が同じ役割を持つことによる弊害が多く指摘されている。例えば、参考人喚問等での政治倫理を問う手法により国会が空転すること。さらに、衆議院と参議院が同様の審議をすることにより、総理大臣を含めて多くのリーダーの貴重な時間を拘束しているのも事実である。

 このため、衆議院の優越を強化し、法案その他の議決で完全に衆議院を優越させるかわりに、参議院には、政治倫理等の調査や喚問といった国政調査、政府人事と弾劾裁判を担う院とすることを提言したい。衆議院と参議院の役割を完全に分けるのである。

 具体的には、憲法第62条で両院は国政調査権を与えられているが、その条項を改定して、参議院のみに政治倫理等の調査や喚問といった国政調査権限を与える。さらに、人事について。日銀総裁等の国会承認人事について、憲法に新規に項目を立て、参議院のみがその承認権限を有するとする。加えて、裁判官の罷免を審議する弾劾裁判に関しても参議院のみの権限とする。

 衆議院と違い、解散もなく、任期も6年と長い参議院だからこそ、その時の世論や風潮に流されずに長期的視点でその任務に当たることが可能となるはずだ。

 次に、行政のチェック機能だ。国会の役割として、行政監視機能・仕分けなどは極めて重要だ。にもかかわらず、現状では、それが疎かになっている。国会審議も予算委員会はテレビも入って侃々諤々の議論が行われるが、決算・行政監視委員会などは、国会議員も欠席ばかりでろくな審議がなされていない。

 このため、行政のチェック機能を強化するために、参議院に行政監視院を設置することとしてはどうだろうか。これは産経新聞の憲法改正提言にもあるアイデアだが、具体的には、アメリカの連邦議会の米国会計検査院(GAO)を念頭に、会計検査院と総務省行政評価局の機能を参議院に移管して、政治の立場で本格的な行政監査を行う機能を参議院に持たせるのだ。

 これらの役割を参議院に与えることで、衆議院の優越を強化する代わりに、参議院の役割を明確化し、良識の府である参議院を最大に活用するのだ。衆議院が法案を作成する意思決定機関とすると、参議院は良識の府としての法案、政治、行政、司法の監視役となるわけだ。この役割分担により、審議の重複が減り、監視やチェックが有効に効くようになるであろう。

(国政調査権および政治倫理に関する調査

第62条 両議院参議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

(人事案件の同意)

第62条の2(新規) 法律で定める公務員の任免に関しては、参議院の同意を得なければならない。

(弾劾裁判所)

第64条

第1項 国会参議院は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院参議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

第2項  弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

(行政監視院)

第64条の2(新規)

第1項 参議院に行政監視院を設置する。

第2項 行政監視院は、次の年度にその監視報告書を国会に提出し、承認を経なければならない。

第3項 行政監視院の組織および権限は、法律でこれを定める。

憲法で政党について明記し、政党法を制定して健全な政党運営を担保せよ!

 政党は現代の議会制民主主義においては不可欠な存在だ。しかし、日本国憲法には政党に関してなんら規定はない。政治資金規正法、政党助成法、公職選挙法など必要に応じて政党について規定されているからそれで十分だという意見もあるが、政党助成法で莫大な公金を受け取る政党が、そのガバナンスも法律でなんら縛られることなく自由であるのは不健全だ。

 政党助成法では年末時点に国会議員5名が所属する組織を政党と認定して政党助成金を交付するため、最近では毎年年末に、政党助成金目当ての少数政党が乱立する事態が生じている。それらの政党も資金の使い方や公開方法、党内意思決定のガバナンスは規定が無いのが現状だ。

 民間の会社であれば、株主総会、取締役会、外部監査、四半期ごとの決算などのガバナンスがある。しかし、政党には意思決定、組織運営、資金の収支や使途とその公開について、なんら法的には定められていない。

 1990年以降に制定された諸外国の憲法100のうち、9割の90カ国が憲法に「政党」に関する条項を入れており、政党について憲法に規定するのは、現代憲法のトレンドといえよう。

 このため、日本でも政党について憲法で明記した上で、政党法を制定し、政党という組織の健全で効率的かつ民主的な運営を担保することを提案したい。

(政党)

第64条の3(新規)

第1項 政党は国民の政治的意思の形成を促し、民主主義に基づく健全な政治を行う組織として、その設立および活動の自由が保障される。

第2項 政党の内部秩序は、民主的規律に基づかなければならない。

第3項 政党は活動資金の収支および財産について、これを公開しなければならない。

第4項 政党の運営その他に関する事項は、法律でこれを定める。

<新設>緊急事態条項の導入を!

 近年の世界では、国際紛争が多発し、国際テロも過激化している。加えて、東日本大震災など想像を絶する大規模な自然災害も数多く発生している。

 国家がこういった緊急事態に見舞われた場合、憲法上いかなる措置を講じることができるのか。政府はどういった手続きで権限を行使し、国民の権利はどう守られ、どう制限されるのか。

 このことに関して現行の日本国憲法はなんら規定していない。有事や大規模自然災害の際に最も重要なのは、スピーディーな対応だ。緊急時には一定の手続きを担保した上で、政府にスピーディーで強力な政策決定を可能とする権限を与えておくことが必要となる。

 実際、各国憲法では、国家緊急事態に対処する規定を必ずと言っていいほど明文化している。1990年以降に制定された100カ国の憲法でも、すべてに国家非常事態対処条項が設定されている。世界の憲法では、平和が侵されたとき、いかに対処すべきかということは憲法で定めるべき事項と考えられているのだ。

 この点を考えれば、日本国憲法においても、緊急事態条項を導入する必要は明らかだ。その内容は、周辺国からの武力攻撃や大規模災害などの緊急事態が発生したときに、内閣総理大臣が緊急事態宣言を行い、法律と同じ効果を有する緊急政令を発する権限を総理大臣に与えるものだ。

 また、緊急事態の継続は基本的に100日以内とし、100日を超える場合は「事前に」国会の承認を得ることが必要とすることで、乱発を防ぐことが可能となるだろう。

 さらに、緊急事態における人権等の制限についても定める。

 緊急事態における基本的人権については、全てを制限するのではなくて、当然「必要最小限」のみ制限するのが望ましい。人権の制限が濫用されないためにも、具体的にどの人権が制限されうるのかを明記しておく必要があろう。具体的には、「通信の秘密」「居住、移転および職業選択の自由」「財産権」「逮捕、抑留、住居不可侵等の権利」などの人権がやむを得ない範囲で制限されることを可能とする。国際人権規約においても、非常事態が宣言された際の一時的な基本的人権の制限を認めているため、必要な規定だといえよう。

(緊急事態の宣言)

第99条(新規)

第1項 我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱、地震等による大規模な自然災害その他の緊急事態が発生した場合において、特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、国会の事前または事後の承認のもとに、緊急事態を宣言することができる。

第2項 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、当該宣言を速やかに解除しなければならない。

第3項 緊急事態の宣言は、原則として百日を超えて継続してはならない。百日を超えて当該宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに事前に国会の承認を得なければならない。

(緊急命令および緊急予算執行)

第99条の2(新規)

第1項 緊急事態が宣言されたときは、内閣は法律と同等の効力を有する政令を定め、緊急予算執行を行い、地方自治体の長に対して必要な指示を行うことができる。

第2項 前項の政令の制定、予算執行については、事後に国会の承認を得なければならない。

第3項 第1項の措置を講じる場合において、国は、必要やむを得ない範囲に限り、通信の秘密(第21条第2項)、居住、移転および職業選択の自由(第22条第1項)、財産権(第29条)、適正手続の保障(第31条)、逮捕に関する手続の保障(第33条)、拘留および拘禁に関する手続の保障(第34条)、住居等の不可侵(第35条)の権利を制限することができる。

 

(注:新たに99条および99条の2を挿入するにあたり、既存の99条は98条3項に移動することとする。)

 今回の行動で見て来た通り、憲法を改正し、衆議院の優越、世代別選挙区の導入、衆参の役割分担、政党法、そして緊急事態条項を導入することが重要となることが理解できた。 

 いよいよ次の100の行動98では、憲法編の最後となるその6「地方自治と財政」に関して提言する予定だ。

 2016年11月、国会では参議院で9ヶ月ぶり、衆議院で1年5ヶ月ぶりに憲法審査会での改憲論議が再開された。この中で自民党などは緊急事態条項の必要性を説いている。一方で、7月の参院選で導入された都道府県をまたぐ「合区」については、自民党からは「地方の声が届きにくくなる」といった否定的な意見が多いようだ。一票の格差是正や合区の問題を本質的に解決するには憲法改正が唯一の方策だ。100の行動で提案した「地域別選挙区」「世代別選挙区」を参議院には導入し、衆議院は一票の格差を1.5倍までに抑える徹底した格差是正を行うとともに、衆参の役割分担を明確にすれば、本質的な解決策となる。また、不安定さを増す国際情勢を考えれば、緊急事態条項の創設も不可欠だ。ここでも政治の「行動」が求められる。

 

100の行動新憲法草案対照表
http://100koudou.com/newconstitute_table.html

 



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