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Oct 11 / 2011
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日本の国力・パワーの増強と外交インフラの構築を!100の行動15 外務1

初稿執筆日:2011年10月11日
第二稿執筆日:2015年4月26日

 近年、米国のパワーの相対化と新興国の台頭が進み、国際的な合意形成や紛争解決の枠組みが変化しつつある。一方、我が国を取り巻く環境は、普天間基地移設問題にみられる同盟国・米国との信頼関係の維持、周辺諸国との領有権や歴史認識を巡る問題など課題が山積である。またTPP参加交渉は経済連携の枠組みづくりを通じた新たな多国間関係のあり方を問うている。日本は自由で開かれた国際秩序の維持とともに、新興国と共存・共栄する世界システムの構築にリーダーシップを発揮しなければならない。

 しかしながら、これまでわが国は国内政治の不安定さや外交戦略の曖昧さにより、場当たり的な政策対応に終始し、明確な外交戦略を国内外に提示出来ていない状態であったと言える。2013年の政権交代により安倍政権は「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、世界の要所にポイントを打ち込みながら多角的で日本の立場を主張する外交を展開し、日本の地位の再構築に努めているが、道半ばである。

 重要なことは、国際社会に対して、国家としての明確な意志と、外交構想力(Agenda Setting)を打ち出し、リーダーシップを発揮し、存在感を増すことだ。まさに日本外交の立て直しは、喫緊の課題なのである。

 日本政府は、「国益」と「日本国の役割」を再定義したうえで、日本外交のグランドデザインを再構築する必要がある。

  「国益」は、日本の領土保全、国民の生命と財産の確保、日本経済・企業や国民の繁栄、日本の価値観や文化・歴史観の尊厳の維持など、そしてそれらを実現するための国際社会における影響力・発言力の確保と定義しよう。

  「日本国の役割」は、国防・外交・ODAを戦略的に行い、国際機関や会議にも積極的に参画し、世界を取り巻く諸問題に関わり、世界中から信頼を得て、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する国となる、と定義できよう(「100の行動」の基本理念より)。

  その「国益」と「日本国の役割」を再定義したうえで、日本を取り巻く国際情勢と日本の国力・パワーを冷静に分析し、日本の総合外交戦略(機能別・対象地域別)を策定し、その基本方針のもとで、具体的な政策の優先順位付けや工程表を提示することが求められる。

 その戦略策定のためには、まず、総合的な外交政策を支える国力・パワーの増強と外交インフラの構築を図ることが不可欠であろう。

 したがって、外務省編の最初の行動は「国力・パワーと外交インフラ」について論じたい。

 なお、具体的な外交政策課題(例:ハードパワー、ソフトパワー、レジティメート・パワー、アライアンス・パワー、ODAパワー、コミュニケーション・パワーや、日米関係、日中関係など)については、次回以降から順次提案をする予定である。

日本の国力・パワーの増強を!

 さまざまな外交課題に対応するには、パワーと影響力が必要となる。日本の国益を守り、日本の役割を積極的に果たすためには、日本の国力・パワーを強化する必要がある。そのパワーの源泉を列挙すると以下の通りに分類されよう。

(1)ハードパワー(防衛力・経済力・技術力・資源確保力など)

(2)ソフトパワー(文化力・教育力・観光力など)

(3)国際機関におけるレジティメート・パワー(国連の安保会議、IMF等における発言力、人的登用力など)

(4)多国間協力・連携のアライアンス・パワー(APEC、上海協力機構、日米豪印連携の枠組み策定など)

(5)政府開発援助や青年海外協力隊などのODAパワー

(6)対外情報発信力などのコミュニケーション・パワー

(7)官民の国際人的ネットワークパワー(国際会議における人的ネットワーク、シニア海外ボランティアの人的ネットワークなど)

 外交の基本方針は、上記のパワーを一つひとつ高めてゆくことに他ならない。パワーが高まれば、発言力が増す。パワーが低下すると発言力や存在感も低下し、主張は無視され、最後は他国の意思決定に服従させられる結果となる。そうなると国益は、守れない。「外交は、パワーの蓄積である」という視点が必要となろう。

国家安全保障会議の設置とその基盤となるインテリジェンス機能の強化を!【一歩前進】

 外交インフラ構築の第1は、政府の司令塔とそれをサポートする体制の充実だ。

 政府の外交機能強化のために、国家安全保障会議(日本版NSC:National Security Council)を設置して、戦略策定機能と外交政策の執行・調整機能を整備することが不可欠であり、全ての情報を一元化し、重要な意思決定をスムーズに行う必要がある。

 また、戦略策定と政策執行を支える政府のインテリジェンス機能の強化のためには、日本版CIA(Central Intelligence Agency)の設置が求められる。今後は、サイバースペース上でのセキュリティや情報収集力も必要となろう。

 2012年末の政権交代によって成立した安倍政権は、国家安全保障会議(NSC)を設置し、各省からNSCに情報を集約し、その情報に基づいてNSCが安全保障政策を決定する仕組みを作った。この点は率直に評価したい。

 しかし、そこに集まる情報は、内閣情報調査室や公安調査庁の情報部門など、これまでと変化はない。情報を政治のトップに集約する仕組みを作ったことは評価できるが、実働部隊としての情報機関(日本版CIA)の設置には至っていない。

 また、NSCのスタッフも、これまで同様、各省からの出向者の寄せ集めであり、規模も不足している。

 このため、NSCの体制を拡充し、専門家を常置して最高責任者を補佐するシステムとするとともに、実働部隊としての情報機関の創設が必要であろう。

政治家の外交パワーのアップを!【一歩前進】

 外交インフラ構築の第2は、政治家の外交パワーの向上である。日本の政治家の海外における存在感と発信力を高め、日本の外交インフラとして活用可能なまでに高める必要があろう。

 毎年開催される世界経済フォーラム(ダボス会議)、シャングリラ・ダイアローグなどの外交・防衛の重要な国際会議には、主要閣僚が必ず出席し、アピール力のある対外情報発信を行わなければならない。

 日本の政府首脳・閣僚の多くが国会対応に縛られて、外交に十分な時間が割けていないといった悪弊は早急に改善する必要があろう。G1サミットではすでに各党の議員たちと議論をしているところであるが、国益第一主義で、予算委員会等での全閣僚出席の慣例を改め、首相・外務大臣・関係閣僚が機動的な外交を可能とする環境を整備する必要がある。

 そういった中で、2014年のダボス会議では、安倍晋三総理が基調講演を果たしたことは特筆に値する。諸外国から日本を見る目線はあの登壇を機に大きく変わったといっても過言ではない。政治リーダーにはその力があるのだ。

 加えて、政府の閣僚等だけでなく、その他の政治家においても、外交上果たすべき役割は大きい。主要な国際会議への出席や、主要国、新興国との政治家同士の交流、さらには在外日系人とのネットワーク強化に努め、外交インフラとしての政治家の外交パワーアップを志向するべきだ。

 そのためには、国会において海外渡航を柔軟に認める対応も必要となるし、国民としても、海外に積極的に出て行く政治家を評価する風土が必要だ。夏祭りや盆暮れの挨拶回りに来る政治家ばかりに投票しているようでは、日本の政治家の外交パワーは向上しないのだ。

外交組織や大使館の改革を!

  外交インフラ構築の第3は、外務省と在外公館の体制の強化だ。外交分野に投入できるマンパワーも当然限られてはいるが、日本の国益に直結する分野であり、最大限の対応を行うとともに、時代に合わせて重点分野を強化し、さらにその質を高める努力が必要だ。

 新興国(BRICsやN-11諸国)の台頭に合わせて、外務省の地域局の改編や新興国部門を強化し、新興国に精通した人材育成を進める必要があろう。

 また、外交の最前線での情報収集、外交関係促進などの重要な役割を担う在外公館については、ここ数年その新興国を中心に体制強化、設置国数の増加が進められている。近年の国際テロのリスク増大などによる邦人保護必要性の拡大、情報収集能力の強化の必要性などからしても、在外公館の数及び質、体制の強化が必要だ。2013年度末の日本の在外公館数は、204公館(大使館136、総領事館60、政府代表部8)であり、この数は、米国の277公館、中国の254公館など他の主要国に比べると、依然として少ない水準にある。

 外交実施体制の強化は不可欠であり、新興国など、パワーを増大する方向に、資源を投下していく必要があろう。

民間の知恵や人材の活用を!

 外交インフラ構築の最後は、民間の知恵や人材の拡充である。外交・経済外交・安全保障政策に精通した専門家が政策立案・調整を担うポリティカル・アポインティー制度を拡充するべきだ。

 優れた外交戦略の立案と遂行のためには、外務省以外にも、政策アイデアを立案出来る、政策研究機関(大学を含む)と政策人材(研究者と実務者)の育成が求められる。

 政策研究機関や大学からさまざまな政策の代替案が供給されることにより、常に政策アイデアが切磋琢磨される環境が生まれ、結果的に日本全体の外交政策のレベルアップや、国際人的ネットワークの強化、政策論議の喚起などに繋がることが期待される。また、政策研究機関や大学が、政・官・民・学を結ぶ「回転ドア(revolving door)」、政治任用のための政策人材のプール、セカンド・トラックの「場」になることが期待できる。

 在日米国大使を務めたジョン・ルース氏や、豪州でお会いした在豪米国大使のジェフ・ブライチ氏は、ともにオバマ大統領の友人だ。彼らは、大使として就任するまで3カ月に及ぶトレーニングを受けたという。彼らの民間的な発想が、友好国の大使に適切であることは、東日本大震災後のトモダチ・プロジェクトでも証明された。

 日本の外交を高い次元にするためにも、日本の国力・パワーを増強し、外交インフラを構築し、民間を含めた総合力で、積極的に関与していく必要がある。次の「行動」から、一つひとつのパワーに関して論じ、外交インフラや地域課題に関しても言及していくこととしたい。

 謝辞)この「行動」の執筆には、慶應大学の神保謙准教授と東京財団の渡部恒雄ディレクター(政策研究)/上席研究員にアドバイスを頂きました。神保謙さんと渡部恒雄さんには、引き続き、外交分野の執筆へのアドバイスの御協力をお願いする予定です。



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